こんにちは。九鬼家のダッシュ!!です。

前回は実際のスプリント中にストライドを制限するトレーニングを紹介しました↓↓

http://kukikenodash.blog.jp/archives/78220135.html


今日、紹介するトレーニングは、「壁押し(ウォールエクササイズ)」です。

スプリントの技術トレーニングとしては、一度は体験したことがあるのではないでしょうか。



通常のもも上げではなく、
壁を押しながらもも上げを行います。

壁を強く押すことで、力を発揮する方向は、推進方向になります。

このエクササイズのポイントは以下の通りです↓↓

スライド1

以前のブログでもお話したように。
離地時の膝関節は完全伸展位ではなく、少し曲げた状態にします。

特に、脛の部分が前方に傾くように姿勢を取ることで、より強く壁を押すことができます。
強く壁を押すことができるということは、地面に対して大きな推進方向の力を加えていると考えられます。

この離地時の膝の伸展を抑制することは大切で。(繰り返しになります)
素早く脚を切り替えて、スイングのタイミングを早めるスプリントの技術です。

Dr. Murphy が行った研究を紹介させてください。
短距離選手や球技系選手など20名の競技者を対象として、スプリント能力によって上位と下位のグループに10名ずつ分けます。
上位と下位の被験者の動作を比較しました。
すると、上位の被験者の方が、離地時の膝角度が10°程度、屈曲していたことがわかりました。

この結果を受けて、論文の中では以下のように述べています。
"subjects in the fast group may have abbreviated their knee extension at toe-off. This reduced range of movement potentially allows for a more rapid turnover of the lower limbs during acceleration, which may lead to a faster sprint performance."

要するに。
「離地時に膝関節の伸展を省略(abbreviate)することで、素早い切り返しを可能にしている」
と言えます。


この壁押し(ウォールエクササイズ)は、離地時の姿勢を学習するためのトレーニングと考えられます。

非常に初歩的なエクササイズですが、継続的に使用するにはとても有用なものだと思います。



引用文献
Murphy, A. J., Lockie, R. G., & Coutts, A. J. (2003). Kinematic determinants of early acceleration in field sport athletes. Journal of sports science & medicine, 2(4), 144.